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遺留分がある場合のQ&A

  • 文責:所長 弁護士 田中浩登
  • 最終更新日:2024年6月25日

遺留分とは何ですか?

相続が発生したとき、被相続人による遺言がない場合には、相続人同士で話し合って財産を分けることになります。

これに対し、被相続人による遺言があれば、原則としてそれが尊重されます。

そのため、被相続人は、たとえば、相続人の一人だけにすべての財産を取得させたいというようなことも、遺言書で自由に決めることができます。

そうはいっても、被相続人から遺産をもらえなかった相続人には何らの権利もないのかというとそうではなく、相続人に対する生活保障や、婚姻による資産の清算という意味もあり、民法では、相続人に対し、最低限の取得分(遺留分)を認めています。

遺留分が認められているのは、兄弟姉妹を除く法定相続人です。

具体的には、被相続人の配偶者、子及びその代襲相続人、子及びその代襲相続人がいない場合には直系尊属(父母、祖父母)となります。

このように兄弟姉妹に遺留分がないのは、兄弟姉妹は関係性が薄いからという考えによるものですが、遺留分が認められていなくても、兄弟姉妹も相続人になることがありますし、兄弟姉妹に対して遺言で財産を残すことも可能です。

自分にはどれくらい遺留分があるのですか?

まず、各相続人の遺留分がどのくらいの割合であるかを確認します。

相続財産の総額のうち、相続人が直系尊属のみであるときは3分の1、それ以外の場合は2分の1が、遺産全体に対する遺留分権利者全体がもつ遺留分割合となります(総体的遺留分)。

具体的な遺留分を算出するには、総体的遺留分に対して法定相続分を掛け合わせて、個人の遺留分割合を算出します(個別的遺留分)。

たとえば、相続人が配偶者と子2人である場合、各人の遺留分は次のとおりとなります。

配偶者:1/2×1/2=1/4

子① :1/2×1/2×1/2=1/8

子② :1/2×1/2×1/2=1/8

次に、遺留分を計算する際、遺留分の基礎となる財産を確認する必要があります。

具体的には、被相続人が相続開始時に持っていた財産(遺産)に、生前贈与した財産を加えた額から、債務を差し引いて算定します。

遺留分侵害額請求はどのようにするのですか?

遺留分を侵害された遺留分権利者は、被相続人から遺贈・死因贈与・生前贈与等で財産を譲り受けた人に対して、遺留分侵害額請求をすることができます。

この場合、現物返還ではなく、侵害された遺留分に相当する金銭の支払を請求することになります。

遺留分を侵害する遺贈・贈与が存在する場合、遺贈・死因贈与・生前贈与の順に、受遺者または受贈者が、遺留分侵害額請求に対応する金銭の支払い義務を負担します。

遺留分侵害額請求は、権利が行使できる期間が限られており、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知ったときから1年、または相続の開始のときから10年以内に、遺留分侵害額請求をする必要があります。

このような制限期間内に郵便物を出したことを立証するためには、内容証明郵便を利用することが一般的です。

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