遺産分割の方法についてのQ&A
どのような方法で遺産を分割するのですか?
遺産分割には、次のような方法があります。
- ⑴ 現物分割(財産をそのままの形で分割する方法)
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たとえば、不動産Aは長男に、不動産Bは次男に、預貯金は長女に…といったように、個々の財産を各相続人に配分します。
財産ごとに配分するので、手続きは容易である点はメリットですが、取得する財産によって不公平が生じうるというデメリットがあります。
- ⑵ 換価分割(財産を売却して現金で分割する方法)
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たとえば、不動産などを売却して金銭に換えて分配する方法です。
相続人間で公平に分割できる点はメリットですが、被相続人が残した財産の現物が無くなってしまうことや、売却の手間や費用がかかること、売却益に所得税・住民税がかかることがデメリットです。
- ⑶ 代償分割(財産をもらった方が差額等を現金で支払う方法)
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たとえば、長男が不動産を取得し、他の相続人に対し、相続分に相当する金銭を支払うような場合です。
不動産を自ら取得して利用したい相続人がいる場合に用いられる方法ですが、他の相続人に対し金銭で支払える資力が必要となります。
- ⑷ 共有分割(財産を共同で相続する方法)
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たとえば、不動産の一部または全部について、相続人全員が共同で所有する方法です。
公平ではあるものの、財産の利用や売却について自由ではなく、また、相続人が亡くなると権利が複雑になるといったデメリットがあります。
具体的にはどのように遺産分割を行うのですか?
被相続人が亡くなった場合、まずは遺言書があるかどうかを確認し、ない場合には、相続人全員によって遺産分割協議を行うことになります。
相続人全員で、遺産をどのような方法で分割するか、誰がどれくらい取得するのか等を決めます。
遺産分割協議を行ってもまとまらない場合には、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることになります。
調停では、裁判官と調停委員が間に入り、相続人の範囲、遺産の範囲、遺産の評価、遺産の分け方について、順を追って整理していき、遺産の分け方について相続人全員が合意できれば、調停成立となります。
調停も成立しない場合には、遺産分割審判に移行し、裁判所が決めることとなります。