遺産分割協議書の作り方
1 遺産分割協議書作成の基本的な考え方
遺産分割協議書は、登記や預金解約、相続税申告に用いるものなので、それらの目的に沿うように、法務局や金融機関、税務署で通用する遺産分割協議書を作成する必要があります。
記載事項についても、当然、どの手続きで使用するのかによって変わってくることになります。
例えば、登記変更に用いる場合には、被相続人の登記簿上の住所を記載しますが、金融機関の手続きにのみ使う場合にはそのような記載は不要です。
2 遺産分割協議書は税金のことも考慮して作るべき
遺産分割協議書は、どのような記載をするかにより、課税金額や納税義務者が変わってきますので、注意が必要です。
小規模宅地の特例や配偶者控除等、誰が遺産相続するかにより適用関係が変わるものについては当然ですが、例えば、形式的に代表者1人の登記にしておいて、売った後に相続人に分配するという合意をしたときに、遺産分割協議書に単純に相続人の代表者が相続するとだけ書いて登記をしてしまうと、後から譲渡所得課税はすべてその代表者が納税義務を負うことになってしまいます。
このように、思いがけない負担を強いられることになってしまうおそれがありますので、相続人の合意内容をしっかりと遺産分割協議書に落とし込むことは、非常に重要です。
また、通常は金融機関手続の利便性の観点から、預貯金については2分の1ずつ等ではなく、代償金を使って解決をすることが多いです。しかし、不動産の譲渡所得課税において相続税控除を利用したいケースでは、代償金解決ではなく、預貯金の分配で分割することで、相続税申告額のうち不動産相当額の相続税額が減額されることなく申告納税できます。